覗いてはいけない愛の果て。
『さらば、わが愛／覇王別姫』の鬼才、陳凱歌が放つ濃密な愛のサスペンス。視線の魔術に絡め取られた衝撃の出会い。愛すれば愛するほど、貴方を知りたくなる。

満たされていると思っていた平穏な日々に、嵐のように襲いかかる濃密な愛の世界―――。未知の快楽は、未知のサスペンスを呼ぶ

人の心の奥底に眠っている、別の世界への願望。今ある平凡な生活ではない、激しく心をときめかす世界はきっとあるはず・・・。出会いは突然やってきた。冬のロンドン、出勤途中のいつもと変わらない交差点。立ち止まった男の視線が、アリスの体を貫いた。アリスはその時、日常から非日常の異次元とでもいうべき世界の扉を開けたのだ。アダムという男とのめくるめく快楽、そして愛。しかし彼の溺れれば溺れるほど彼への謎は深まり、死の影がつきまとい始める。アリスの視点で語られるこの物語は、彼女の心の揺れを体感させながら、見るものを幻惑させていく。引き締まったジョセフ・ファインズの肉体と登山家という設定が、エスカレートしていく願望、愛の行方の怪しさを感じさせつつ、後半のサスペンスを際立たせていく。陳凱歌監督の映像も随所に青、緑、赤と原色を配置するなど、凝った演出をしている。